僕の窓から見た世界 ーThree Short Storiesー


部署の同僚Mさんがふと思いついてしまい、
出社最終日に「最終講義」をしてほしいと頼まれた。
もとより僕は大学教授でもないのだから戯れ言だが、
どんなささいなチャンスもムダにしないのが身上だ。
「やってみます」とつい返事してしまった。



総務部長Mさんが精力的に呼びかけてくださり、
同僚50人ほどが来てくれた。
ティーブ・ジョブズスタンフォード大学卒業式スピーチに倣い、
三つのドット(点)を結んでグローバルとクリエーティブにまつわる
三つのショート・ストーリーをお話しすることにした。
タイトルは「僕の窓から見た世界」。



第一のドット。1966年、12歳。
英語を学び始め、以来足掛け49年、
NHKラジオ英語講座をベースキャンプにしている話。
第二のドット。1985年、30歳。
世界一のCMディレクターに手紙を出して
シカゴまで会いに行った話。
第三のドット。2008年、53歳。
Yabo(野暮)が主流を占めるグローバルで、
Iki(粋)こそがこれからの世界のコミュニケーションを変える
とベルリンスクールで卒業プレゼンテーションした話。


その三つのドットを結んだ先に
きょう2014年11月28日があり、
同僚たちや僕の未来があると結んだ。
気づいたら予定の1時間を少々オーバーしていた。
(自分では 30分で話し終えるつもりだったのだ)



英語を学ぶ楽しさを僕に最初に教えてくれた父・孝雄の話。
ニューヨークで客死した盟友Fの話。
会社生活でチャンスをくださった上司、ともに格闘した同僚の話。
そうしたみなさんの話を思いがけずでき、
ああ、やらせていただいてよかったなぁと思った。



部署の女性陣が奔走し実現できた第二部懇親会でも
大勢の方たちと話すことができた。
自分がスポットライトを浴びるのはとても苦手なのだが、
みなさんのおかげで最高の定年退職日を迎えることができた。
感謝の一言以外に言葉が浮かばない。
きょうまで36年8ヶ月働かせていただき、ありがとうございました。