宮部みゆき『ソロモンの偽証(4)』(2012/2014文庫版)


宮部みゆき『ソロモンの偽証(4)』(全6巻)を読む。
中学三年生たちを主人公に置き、
群衆ドラマを描いていく宮部の意欲作。
雪の日に学校敷地内で発見された級友の死は自殺か、他殺か。


ソロモンの偽証: 第II部 決意 下巻 (新潮文庫)

ソロモンの偽証: 第II部 決意 下巻 (新潮文庫)


冒頭で自殺であることをほぼ確定させながら、
その死の影響が生徒たち、先生たち、親たち、
さらにはテレビ局プロデューサーや警察官にまで波紋を広げる。
そのリアリティは通り一遍のニュース報道の比ではない。
中学生一人一人の心理、行動、個性が克明に表現される。
どうして宮部にはこれほどの想像力、表現力があるのだろうか。
ストーリーテリングを学ぶ教材としても使えると思う。


これから広告クリエーティブで生計を立てようと思うなら、
物語を紡ぐ技術を身につけるために
優れた小説に戻るときが来ているのかもしれない。