スクラップブックから
朝日新聞2018年5月17日夕刊
カンヌ 進化への宿題
「劇場公開限定」にネトフリ反発
映画祭の最高峰で、フランスで19日まで開催中の
カンヌ国際映画祭が揺れている。
有力な映像作品を製作するネット動画配信大手の
ネットフリックスは今回、不参加を表明。
スクリーンで上映しない映画は映画なのか—。
カンヌ国際映画祭は今回から
「フランスで劇場公開しない作品は
コンペ部門に参加できない」という新ルールを設定した。
(略)
ネトフリも
「コンペ部門に出品できないのなら、他部門にも参加しない」
と、全面的な撤退を表明。
昨年は長編コンペ部門に2作を出品したが、
今年は物別れに終わった。
ネトフリは日本を含む190以上の国と地域で展開し、
約1億2千万人の会員を抱える世界最大級の動画配信サービスだ。
近年は自社での映画の製作に力を入れ、
有名監督や俳優を次々と取り込んでいる。
(略)
(カンヌ=伊藤恵里奈、疋田多揚)
「改革を迫られるカンヌだが、
これまで批判をのみ込みながら成長してきた歴史がある」
と両記者は書く。
デジタル動画配信の旗手をのみ込んで成長するのか、
スクリーンにこだわり、排除の道を選ぶのか。
2018年、既成権力は新興勢力を「排除」し妥協を迫った。
一方新興勢力は分断も辞せず、全面撤退を選んだ。
映画の世界も政治そのものですね。