恐竜のあばらのような雲が浮き(鳥原さみ)

クリッピングから
讀賣新聞2022年1月31日朝刊
読売歌壇(俵万智選)


今週の好きな歌、3首抜き書きします。


  寝落ちした姉の指からペンを抜く
  エジプト考古学者の手付きで

        横浜市 紫藤拓巳


    【評】細心の注意を払ってペンを抜く。
       下の句は、遺跡を発掘する人のようにということだろう。
       新鮮な比喩だ。
       姉は古代に関する本を読んでいたのだろうか
       と想像が広がる。


  廃業せしスキー場跡山肌に
  妊娠線のごとく残れり

     長野市 原田りえ子


廃業したスキー場跡を妊娠線に見立てる飛躍が
僕にはとても思いつきそうになく、新鮮でした。


  恐竜のあばらのような雲が浮き
  尻尾の方が私の職場

        越谷市 鳥原さみ


上の句と下の句の落差の大きさに
ニヤリとしてしまいました。
「尻尾」が効いてます。


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