トラトラトラの夜

yukionakayama2007-08-04

ニューヨークのBさんが四年ぶりにやってきて
一緒に晩ご飯を食べることになった。
Bさんは以前僕の出向元で部下のひとりとして
働いていたアメリカ人。
その後会社を辞め、ジュネーブ、ロンドン、
ニューヨークと渡り歩いて、現在、就職活動を
しているところだった。
30代半ばであるにも関わらず「僕も年をとってきた」と
真顔で言う。Bさんはロンドンの大学でMBAを取得した。
クラスメートの中には国際企業で重要なポジションを
任される人たちも出てくる頃だろう。
彼が僕のクライアントであってもなにもおかしくない。
Bさんは自分のキャリアに少し焦りと後悔があるようだ。
僕がいまEMBAベルリンスクールに通っていることを話したら
とても興味深そうに聴いていた。
僕もBさんのマクロ的発想がどこから生まれてきたか、
いまは以前よりよく分かる。MBAレーニングの賜物なのだ。
それでも物事に対する感じ方や行動の仕方が僕とはまったく違うので
言語の差以上に理解し合えないところはある。
その分、日本人同士で話しているときとは違う刺激があるのも事実だ。
どこか脳の違う部分を刺激されている感覚がある。
英語で考え話すせいもあるだろう。
人間ネットワークも、東京だけで仕事をしている人とはまるで違う。
Bさんのような人たちは「知的遊牧民」である。
おのれの知性、行動力、ネットワーク、学歴・職歴、人柄だけを武器に
望むところ望まれるところであれば、国を気にせず渡り歩くタフさがある。
日本人にはまだまだ少ないタイプの種族である。
「知的遊牧民」たちは群れる代わりに、こうして直に人に会ったり、
メールをさかんに交換して、自分の持つ情報をアップデートする。
情報の更新は「知的遊牧民」にとって死活問題であるからだ。
赤坂にホテルをとっているBさんがお土産にくれたのが虎屋の羊かん。
一緒にご飯を食べたのが、かまど炊きごはんが自慢の「寅福」。
家に帰ってコトランに登場願って、虎屋の手さげ袋を置いて写真を撮った。
トラトラトラの夜だった。