春の山菜図鑑

つくし、コシアブラごぼう
あとは名前を聞いたけど忘れてしまった。
宿で最初の晩に出してくれた山菜のテンプラ。
まるで春の図鑑を眺めるようだね。
他にもアケビの新芽(木の芽と呼ぶ)を、
醤油をたらした溶き卵につけて食べる地元のご馳走。
フキの白和え、コゴミのおひたし、うるい、ゼンマイ、山ウド。
山菜たちの春の祝宴が僕たちを待ちかまえていた。
宿のおかみさんがその朝摘んできた食材ばかり。
村人以外は収穫することは許されていない。
自然が含むほろ苦さは身体を清めてくれる感覚だ。
同居人が好む山野草も散歩の途中、そこここで観察できる。
あれはイカリソウ、これはキスミレと名前を教わる。
カタクリの群生を初めて見た。
えも言われぬ紫色だった。