卵が消えた謎




我が家の卵事情に異変が起きている。
放し飼いのニワトリ、アロウカナ、烏骨鶏の卵を売る
近所のY園(本業は庭園業)にいつ行っても売り切れなのだ。
今朝もご覧のように入手は失敗した。



ひょんなことから謎が解けた。
先日、町内の鉢洗い(祭りの後の打ち上げ反省会)に出席したおり、
偶然Y園のご主人、通称ガハハのおっさん(笑い声より)が遅れて現れた。
幹事である酒屋S屋のご主人の一言から、
おっさんの所の卵が某テレビ番組で紹介されたことを知ったのだ。


放映以来、それまで16時くらいまでかかって
ゆっくり売り切っていた卵は
朝の9時までに完売することになった。
週末は朝寝を楽しみにしている我が家の生活習慣では
入手は不可能になってしまったのである。



テレビ媒体の価値は下落し落ち目であるとよく悪口を聞くが
どうしてどうしてテレビの影響力はみくびれない。
まして、健康、安全、味覚などが
世の人々の最大の関心事のひとつになった時代である。
卵ひとつとは言え、テレビ放映をきっかけに
こうして注目されるのは無理はない。


ガハハのおじさんによれば、
どうせ一日に売れる卵の数は決まってるんだから
16時に売り切れようが、9時に売り切れようが収入は変わらない。
「それよか、テレビ放映以来、朝から問い合わせの電話を受けたり、
 客が押し寄せたりでてんやわんやのおっかぁに
 オラ、申し訳ねぇ」
とのたまう。


そうだろう。
よけいなお世話だが、
誰かにおだてられてうっかりテレビに出るのは
よく考えてからにした方がよい。



この土地で暮らすことを好み、
産みたて卵を手に入れ料理することを生活の一部にしている
私のささやかな愉しみを奪わないでいただきたい
と、誰にともなくではあるが言いたい。
はっきり言って、迷惑である。


この上はテレビを見てY園の卵に殺到したみなさんが、
一刻も早く次の流行に右往左往して
立ち去ってほしいものだと祈るのみである。