言葉と現実


大激変、陥落、壊滅。
扇情的な見出しが経済誌に踊る。
よせばいいのについ手を出したくなるから
編集者の勝ちである。
太平洋戦争末期にもしマスコミが機能していたとしたら、
やはり、こんなふうに書き立てただろうか。



年明けの出社三日目。
会社の仲間たちと某所の貸し会議室に丸一日こもって
オフサイトミーティングを開いた。
これからの難局をどう乗り切っていくか、
知恵を出し合う目的だったが、
その日がもう数ヶ月前の遠い昔に思える。
それくらいこの一ヶ月間は
僕の身の回りでも経済や社会が激動しているのが分かる。
こんなときこそ平常心と、自分の頭で考え抜き行動する
マドル・スルー(泥の中を通り抜ける)の精神が
なにより大切である。



広告業界の三長老が集まって勉強会が催される。
当初、告知のポスターのキャッチを見て
「なにを大仰な」と思っていたが、
現実の方がみるみる変わり、
ツナミに吞み込まれそうな不安を感じる日々になると、
同じ言葉がまったく違う意味合いで見えてくる。
言葉と現実の関係はまことに面白く、興味が尽きない。