『ヒーローズ』と籠城する週末 - 中山幸雄デジタルノート

金曜朝からノドが痛い。風邪の引き始めのような症状だ。
こんな日は仕事を終えたら酒も飲まず、銭湯にも寄らず、
まっすぐお家に帰って早く休むに限る。

明けて土曜日は籠城食を買いに出かけ、
ひとりで留守番しながら本を読み、DVDを観る。

風邪をこじらせては元も子もないので
晩酌は角ハイボール一杯にしておく。
おつまみはH牛肉店のハムチーズフライ、コロッケ。
きざみキャベツをたっぷり添えて。

この店の揚げものは午後は3時から始まるが、
人気が高いのであっと言う間に売り切れる。
僕も発熱する前に仕入れておかなくてはいけない。

ベルリンスクール級友、
サンパウロのLuisが薦めてくれた『ヒーローズ』。
DVDボックスを買ったので、週末ごとに少しずつ観ている。
ひとりにつき一種類ずつの超能力を持つ登場人物たちが力を合わせ
地球を破滅から救う物語だ。
荒唐無稽のようでいて案外リアリティがあるのが見ものだ。

Luisが
「日本人ヒロが主役のひとりで出てきておもしろいぞ」
と僕に教えてくれた。
以前読んだ海部美知さんの新書『パラダイス鎖国』でも
このドラマを取り上げていたので、いつか観たいと思っていたのだ。

ハリウッドがダメになったと最近よく耳にするが、
アメリカドラマのトップレベルは実に質が高い。
よく練られた脚本、小気味のいい演出、
そして役になりきる役者たち。
実に見ごたえがある。

ヒロ役の日本人はMasi Okaと言い、
ILM(Industrial Light & Magic)で働くデジタルアーティストだ。
彼を見つけてきたキャスティング・ディレクターはなかなかの凄腕だ。

　　（この日の昼の籠城弁当。
　　　のり弁をベースにアラスカ産塩鮭、卵焼き、
　　　ゆでキャベツおかかあえ、紅しょうが。
　　　人は身体が弱るとおのれの原点のような食事を
　　　欲するような気がする。
　　　善かれ悪しかれ、これが、僕の原点か……）

このドラマの成功で
Masi Okaの運命が変わってしまう可能性があるね。
これほどぴったりの役柄が生涯に何度もあるとは思えない。
彼の運命がいい方向に変わるか、裏目と出るか、
それは僕にもまだ分からない。