85歳の現場から


我が家は徳島のN農園から毎年スダチを買っている。
いまではカボスや柚子と間違えられると憤慨するほどの
スダチファンに僕もなった。


正統なスダチとはどういうものかについては
同居人ブログ「もるとゆらじお」に書き尽くされているので
ここでは繰り返さない。
興味のある方は下線部をクリックしてほしい。



とある用事があって僕はN農園に電話をかけた。
出たのは85歳になるおばぁちゃんだった。
おばぁちゃんは僕の用事をメモし復唱し嫁に伝えると言った。
「こういうことは嫁でないと分からないからね。
 わたしは現場でやってるから」。



 (ちょっとだけ家の中に入れてもらったハエタロウ(右)。
  とたんに国防軍であるコトラン(左)に警戒される)


85歳の現場!現場を持っている85歳!
なんて素晴らしい響きなんだろう。
85歳のおばぁちゃんが
いまやスダチ収穫の大詰めであるこの時期に
ひとつ、またひとつと丁寧に果実を摘んでいる現場が絵に浮かんだ。


仕事を達成するために戦略が必要であることは重々承知しているが、
その戦略を血肉あるカタチにしていくのは現場なのだ。
戦略と現場に距離があっては物事は成就しない。



ちなみにN農園のスダチは絶品である。
旬の秋刀魚に絞ってよし、ウォッカソーダに絞ってよし。
僕は有難く、おばぁちゃんの現場の収穫をいただくことにする。