与謝野馨「民主党が日本経済を破壊する」(2010)

与謝野馨民主党が日本経済を破壊する」を読む。
この本を読んでいてこんなことを考えた。
日本の金融資産は1,500兆円ある。
しかし、国債・借入金残高は900兆円ある。


民主党が日本経済を破壊する (文春新書)

民主党が日本経済を破壊する (文春新書)


こんな例えはどうだろう。
こどもが貯金箱にお年玉を15,000円ようやく貯めた。
ところがどうせすぐには使わないからいいだろうと
両親がフタを開けていつの間にか9,000円を家計に回していた。


いつか返すから、いつか返すからと1,000円ずつ借りていたら、
もう6,000円しか残っていない。
どうせこどもはまだ気づいていないんだから、
いつか返しておけば大丈夫だよ……



個人や企業が将来の蓄えと思って
銀行や郵便局にお金を預けていても
その金庫は裏側が空いていて
国が手を突っ込んでどんどん使ってしまっている……



与謝野は日本の未来の医療、介護、教育のためには
消費税を10%程度に上げなくては賄えないと断言する。
しかし、その前に国民が求めている将来の安心を
政党がビジョンとして描く必要がある。


耳が痛いことを堂々と言う政治家は少ない。
野党になった自民党にも傾聴に値する政治家はいるものだ。
与謝野の前著「堂々たる政治」も論旨が実に明快で面白かった。


堂々たる政治 (新潮新書)

堂々たる政治 (新潮新書)


一方、そうした与謝野の考えや行動も
自民党の器の中に入れてしまうととたんに明快さが失われてしまう。
どうやって税金を再配分するのか、
政治家たちの思惑、慣習、利権にしばられ実に不明快になるのだ。
与謝野のような政治家が野党にいることは健全である。
僕はこれからも動向に注目する。


(文中敬称略)