会議の解毒にグラッパ


終日会議室に雪隠詰めになっていたので、
会議から解放されたら解毒剤が必要になった。
「カーブ・ド・リラックス」の大魔王バーに寄る。
心の治療は急ぐに限る。



  (今宵試飲した白赤6種。
   フランス、イタリア、オーストラリア、日本から精鋭が勢揃い)


顔なじみになった店員に
本日の有料試飲ワイン白3種、赤3種を順番に並べてもらう。
50mlずつなので味見にはちょうどいい。
ところが、今宵はどうしたことか、別のボトルが僕を呼んでいた。
封切り前のグラッパのボトルである。



  (手書き文字がなんともいいでしょう)


50度の酒なので、普段は夕食前の時間に飲んだりはしない。
しかし、その夜は、なぜだかこいつが呼んでいた。
声なき声には素直にならなくてはいけないとの自分の教えに
僕は忠実に従った。
小グラスに注いでもらう。
30mlで、試飲料金300円。


バー担当の店員はアメリカ暮らしをしていたので
彼にとってはカリフォルニアワインが一番。
グラッパのような強い酒は飲まないが
これは香りがいいですねとカウンターの中でつぶやく。



グラッパは無色透明なものが多いが、
この酒MASI(マァジ)はマールのように薄い黄金色である。
樽で熟成させたのだろう。
葡萄の凝縮した香りに包まれる。
いい夜になってきた。