花見宴会と失踪事件


陽がかげると少々肌寒いくらいの気温だったが、
秘湯会+釣り部の花見会を催した。
家から歩いて7、8分の都立S公園である。
ここには上野や井の頭公園と違って
カラオケセットを持ち込むような傍若無人の輩は来ない。
花、酒肴、雑談を静かに楽しむには絶好の場所である。




僕はおにぎり担当。
鮭、さばのドライカレー(これが絶品)、ふき味噌、塩昆布の4種類。



スーパーS屋にときたま出まわる上物の時鮭、銀鮭切り落としを
割引価格で買い占めておく。
あぶってほぐし瓶詰めにしておけば冷蔵庫で保存可能。
こんなときには準備に時間を食わず重宝である。




ビール、角ハイボールシェリー、芋焼酎お湯割り、日本酒など
めいめい好みの酒を注ぎ、花を愛で、休日のひとときを楽しむ。
少し寒くなってきた頃を見計らって撤収。
男子部4名はいったん井戸水銭湯E湯につかって第二部に備える。
唯一の女子部・同居人はその間も第二部の準備に忙しい。



参加者の誰もが予想しえなかったことだが、
E湯から我が家にいたるプロセスのどこかで「副会長失踪事件」が起きた。
とうとうこの夜、副会長は二度と姿を見せなかった。
会長、釣り部ふたりも要所要所では副会長を目撃していたが、
誰も一緒に帰ってくる者はいなかったのだ。



翌日昼、実は自宅ベッドで寝ていたことが判明したが、
副会長からその間のいっさいの記憶が消えていた。
この事件については後に同居人がブログ「もるとゆらじお」で
松本清張なみの推理を働かせて詳細を語ることが期待されている。


清水の魚屋、魚としさんが厳選してくれた材料で
かつおのたたき、ほうぼう鍋が第二部にふるまわれる。
自家製バラ寿司がシメである。



仕事のさいちゅうに呼び出されて中途参加した
釣り部副部長Y氏の顔が
微笑みながらも、どこかこわばっている。
無理もない。
明朝までの仕事がまだ終わっていないのに
僕たちとここにいてまだ飲んでいるのだ。