『これからの「正義」の話をしよう』(2010)


マイケル・サンデル
『これからの「正義」の話をしよう』(2010)を読む。
読み応えのある本だが、アマゾンのベストセラー1位である。
こうした著作に挑むみなさんの読書熱は素晴らしい。
僕も暑さにだらけず取り組もう。



 (サイト "Harvard University's Justice
  with Michael Sandel" より引用)


NHKハーバード白熱教室」で講義が放映された影響もあるだろう。
サンデル教授の政治哲学講義 "Justice(正義)"は、
14,000人の学生が聴講した、
ハーバード大学史上もっとも人気のある講座である。


 (下線部をクリックすると、
  サンデル教授の録画講義を無料で見ることができる。
  自分が会話に参加することもできるサイトである。
  NHKの番組を見逃した人もぜひどうぞ)


これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学

これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学


10章から成る本文には
毎回悩まされる現代の社会問題が取り上げられる。
「金を支払うことによって兵役を逃れることは正義か否か」。
例えば、そんな問題だ。


普段は無意識のうちに考えることを避けている問題に直面すると
否応なしに自分の考え方、価値観、生き方が問われる。
学生たちとのディスカッションで進められる講義は
さぞ白熱することだろう。



本書にはアリストテレス、カント、ルソー、ロバート・ケネディらの
思索の到達点が随所に登場する。
人類の政治哲学史の成果が、現代の議論に活きるのだ。
あらためて古典の原著や演説原稿を読んでみたい意欲にかられる。


知的好奇心を刺激されるだけでなく、
その後の行動を問われるのが本書の特徴だ。
原著の副題は、"What's The Right Things To Do?
(どう行動するのが正しいことなのか?)"である。


wikipedia:en:Michael J. Sandel