東京にはまだまだ自分の知らない時空間があるものだ。
東急世田谷線沿線にある酒屋「唐木屋(からきや)」。
まぁ、なにも知らないで通り過ぎればただの酒屋である。
しかし、「唐木屋」には「唐木屋のなか」がある。
会員制有料試飲の角打ちなのであった。
地ビール(特に酵母にごり系多し)、日本酒の品揃えに特徴があり、
ウィスキー、焼酎なども一通り以上は取り揃えている。
会員(登録無料。カードが自宅に郵送される)になれば、
酒瓶が並ぶ「唐木屋のなか」で飲ませてくれる。
まさに、ご主人が自慢するお酒のワンダーランドであった。
奥にはパイプ椅子とスチール机、
そしてソファとテーブル代わりの日本酒樽が会員を待っている。
さらに驚くべきことに、
「唐木屋のなか」は食べ物持ち込みOKなのだ。
僕の隣りに座っていたカップルはお弁当や焼きそばを持ち込み、
それぞれ酒やソフトドリンクを注文して楽しそうだった。
(週替わり・日本酒3種飲み比べセット500円。
左のチーズセットは別料金。
飲み比べセットに少量のチーズが付いてくる)
この時空間では資本主義の概念が少々揺らいでいる。
三代目ご夫婦の道楽&地元貢献、
そしてそのことを大切に思い通ってくる会員が支える
小さくて静かな幸福の時空間であるように僕には思えた。
(青い札がぶら下がっている酒はグラス売りで飲める。
値段を表記して明朗会計)
泥酔の客、騒がしい客はお断りなのだ。
そのための会員登録制なのだ。
自宅の個人情報を店に明らかにしておくルールなら
そうそうおかしな客はやってこないのだろう。
きっとそうしたルールを作るまで
無粋な客に困らせられたり、不愉快な経験もしてきたのだろう。
東京に生まれ育って半世紀以上になるが、
東京の懐は深い。知らないことが多いなぁ。
(左が日本酒、炭酸、ゆず果汁を使った
唐木屋考案・本元ソーダ。大人の清涼飲料です)
え、「肝心の勘定は」って?
地ビール(生)1/2パイント、日本酒飲み比べセット、本元ソーダ、
チーズ盛り合わせ(小)、ウインナソーセージ缶詰をいただいて
全部で2,000円ちょっとでした。
CIRCUS (サーカス) 2010年6月号増刊 TOKYO 大衆酒場 2010年 06月号 [雑誌]
- 出版社/メーカー: ベストセラ-ズ
- 発売日: 2010/05/31
- メディア: 雑誌
- 購入: 1人 クリック: 18回
- この商品を含むブログ (12件) を見る