横澤彪/塚越孝『テレビの笑いを変えた男 横澤彪かく語りき』を読む。
「通販生活2011春号」に横澤さんが出ていて、
そう言えば久しぶりだなぁと思ってインタビュー記事を読んだ。
「自分の本を推薦するのは少し気が引けますけど」と断って
横澤さんが「笑いの世界」を読者に紹介する本三冊の
三番目に選んだのが本書。
- 作者: 横澤彪
- 出版社/メーカー: 扶桑社
- 発売日: 2009/07/16
- メディア: 単行本
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「タモリ、たけし、さんまのビッグ3がお互いをどう思っているのかとか、
タレントや番組の良し悪しなどもすべて実名で話していますから、
ちょっと生々しい内容になっているかも。
でも、僕はもう怖いものなんてないから、いいんです(笑)。」
とあったのでなんとしても読んでおきたいと
アマゾンのマーケットプレイスで注文した。
スキャンダルに堕することなく
横澤さんのテレビやお笑いの世界に対する愛情がにじみ出ている
語りおろしだった。
インタビュアーの塚越さんがいい仕事をしている。
愛情が深い分、横澤さんのテレビやお笑いへの危惧も深い。
ツービートもコント55号も志ん生も知らず、知ろうともせず、
今だけに執着し、反射神経だけでしのぐタレント、ディレクターを
危ういと横澤さんは指摘する。
詰め込みすぎ、問題が起きないことだけを願うテレビ番組が
優等生たちの手で愛情なく作られている現状を憂いている。
横澤さんは良くも悪くも落ちこぼれであり、
身の丈で生きることをなにより大切にする現場の人なのだ。
まさかこの本を読んでいる間に横澤さんが逝去されるとも思わず、
本書は残された者への遺言ともなった。重たいね。
脚注が充実していて、テレビのお笑いの世界で生きた人たちの、
簡潔なWho's Whoになっている。
小林信彦『定本 日本の喜劇人』を補完する資料にも使える。
- 作者: 小林信彦
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2008/04
- メディア: 単行本
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(文中一部敬称略)