冷え込んだ一日。
仕事を終えて、鶯谷まで足を伸ばす。
まずは根岸三丁目の台東6番・宝泉湯につかる。
湯質が柔らかく、合間に入る水風呂も肌に優しい。
湯上がり、宝泉湯から歩いて数分の場所をめざす。
鍵屋である。
僕には浜田信郎さん、太田和彦さん、吉田類さんといった
居酒屋に関する先達がいる。
個人として面識はないが
その著書、ブログなどを大いに参考にする。
- 作者: 浜田信郎
- 出版社/メーカー: WAVE出版
- 発売日: 2008/07/15
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 1人 クリック: 12回
- この商品を含むブログ (9件) を見る
- 作者: 浜田信郎
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2006/05
- メディア: 文庫
- クリック: 16回
- この商品を含むブログ (10件) を見る
- 作者: 太田和彦
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2010/04/24
- メディア: 文庫
- 購入: 1人 クリック: 10回
- この商品を含むブログ (9件) を見る
先達がこよなく愛するのが、
安政3年(1856年)に酒屋として創業、
昭和24年(1949年)から居酒屋として営業を始めた「鍵屋」である。
ガイドブックやネット情報だけに頼るのは面白くないが、
こうした名店は先達に導かれなければ偶然にはやってこられない。
この夜、楓のカウンターには先客ひとりのみ。
高松から出張で東京に来ていて、
晩ご飯を一緒に食べるはずだった友人の都合がつかなくなって
ここに初めて来て飲んでいると言っていた。
煮豆の付き出し。
煮奴、うなぎくりから焼き(一本は肝焼き)。
秋冬だけのメニュー、煮こごりを頼んで燗をつけてもらう。
辛口は菊正宗、大関。甘口は桜正宗。
夜がとっぷり更けてゆく。
そこはかとなく池波正太郎の世界……
(文中一部敬称略)