岸浩史『夢を見た』(2011)


岸浩史『夢を見た』を読む。
岸さんは僕が6年間出向していた会社の同僚。
過労で突然指が動かなくなり、
そのリハビリテーションを兼ねて漫画を書き始めた。
ネットに載せていた作品がある編集者の目にとまった。


夢を見た

夢を見た


以来4年、会社員としての仕事と並行して
月刊誌に連載してきた岸さん「夢」が一冊の本にまとまった。
見開き2ページ、全52夜の作品である。
岸さんの夢は、地下水脈で僕の少年期の夢とつながる感覚がある。
どこか懐かしく、心細いような遠い日の気持ちの揺らぎが
岸さんの描く「夢」とシンクロして記憶の彼方から蘇ってくる。



急いで読んでしまってはもったいない。
コーヒー、紅茶、緑茶、あるいはお酒など
自分の好きな飲みものを用意して
ゆったりした気持ちでページを繰るのがお勧め。
知らず知らず論理や効率などで日々しばられている自分に
リハビリテーションの時間が訪れる。
少年期の夢に会いに出かけよう。


(文中敬称略)