堤未香『政府は必ず嘘をつく』(2012)


堤未香『政府は必ず嘘をつくーアメリカの「失われた10年」が
私たちに警告すること』を読む。
僕は『ルポ 貧困大国アメリカ』以来、 堤に注目している。
主にアメリカをベースキャンプに
独自の視点を僕たちに提供してくれているジャーナリストのひとりだ。



最近作の本書で堤は9.11、3.11、アラブの春、TPPをつなぐ
一本の線について書く。
国家の単位を越えた「コーポラティズム」の線である。
「コーポラティズム」は「想像を絶する資金力をつけた経済界が
政治と癒着する狂った仕組み」(p.5) と定義されている。
「1%の超富裕層が99%の人間に負担を全て押しつけて
異常な利益を手にする」(p.5) 仕組みと言いかえられる。



   (露地もののイチゴ。近所のM青果での収穫。
    小粒とは言え、これ全部で300円ですぜ。)


そうした包囲網の中で僕たち個人はどうしたら自分の頭で考え、
最良とは言えないまでも最悪ではない判断、行動ができるか。
それが、本書のテーマである。
そのためには世の中の資金の動き、
法律で社会を変えていく政治の動きから目を離さぬこと。
人間の本質を解読するために歴史、哲学を学び
思考の味方につけることが僕はとても大切だと思う。



「コーポラティズム」はかつての帝国主義のように、
一リーダーはもちろん、一国家のもくろみや戦略を越えて機能し、
世界の仕組みを変えている。
メディアの情報を鵜呑みにするのは危険である。
なぜならメディア自身が「コーポラティズム」の
主要プレイヤーであるからだ。


とは言え堤の著書の内容をすべて鵜呑みにして
思考停止してしまうのは本末転倒だ。
あくまで自分で考えるための材料にしたい。
堤のフリージャーナリストとしての活動を、
著書を購入することで僕は支える。


ルポ 貧困大国アメリカ (岩波新書)

ルポ 貧困大国アメリカ (岩波新書)

ルポ 貧困大国アメリカ II (岩波新書)

ルポ 貧困大国アメリカ II (岩波新書)