風刺リテラシーが下がったか


業界の大先輩ではあるが
友人としてもつきあっていただいているS氏から電話があった。
「久しぶりにメシでも食おうよ」というお誘いだった。
同居人と麻布十番まで出かけた。
S氏ご夫妻の住むマンションのそばにある
うどん屋さんで一献傾けた。




S氏はコマーシャル音楽作曲家の草分けで
78歳になったいまでも仕事の発注があるというのが凄い。
しかし、S氏の創作欲はそれくらいでおさまることはない。
アニメーション作家古川タクさんと組んで原発風刺の作品はつくるわ、
ヘラルドトリビューンを読み込み
日本のメディアが取り上げない記事を自ら翻訳して
友人諸氏にファクスするわで忙しい。
(高年齢層の友人諸氏はウェブなんぞは見ないのだ)



そんなS氏が
「近頃の日本は風刺が効かなくなった」とつぶやく。
風刺とは倒すべき相手が明確であり、
かつ共有する識見にひねりを入れたことに気づく観客が要る。
インタラクションの原点なのである。
デジタルリテラシーが一見上がってきたようで
風刺リテラシーが大幅に下がっているとしたら、
僕はつまらんなぁ。