麻生和子『父 吉田茂』を読む。
教科書で読む日本現代史を補完する一冊。
肉親、とりわけ娘の観察が面白いなぁと思うのは、
マスコミや歴史書の視点に縛られぬ自由闊達である。
男が権力の頂点に上り詰めても家族から見た景色はまるで違う。
- 作者: 麻生和子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2012/08/27
- メディア: 文庫
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父が総理大臣になったときに、
祖父(注:牧野伸顕)はとても心配して
「だいじょうぶかね」
と首をかしげていました。
私としてもまったく同感でしたので、思わず、
「私もそう思うわ」
といって祖父と顔を見合わせたものです。
(p.162より引用)
ひとりの人間としての姿が見えてくると
歴史は面白い。
どんな重荷を背負った人も
一個人であることに変わりはないのだ。