麻生和子『父 吉田茂』(1993/2012新潮文庫)


麻生和子『父 吉田茂』を読む。
教科書で読む日本現代史を補完する一冊。
肉親、とりわけ娘の観察が面白いなぁと思うのは、
マスコミや歴史書の視点に縛られぬ自由闊達である。
男が権力の頂点に上り詰めても家族から見た景色はまるで違う。


父 吉田茂 (新潮文庫)

父 吉田茂 (新潮文庫)


   父が総理大臣になったときに、
   祖父(注:牧野伸顕)はとても心配して
   「だいじょうぶかね」
   と首をかしげていました。
   私としてもまったく同感でしたので、思わず、
   「私もそう思うわ」
   といって祖父と顔を見合わせたものです。


                   (p.162より引用)



ひとりの人間としての姿が見えてくると
歴史は面白い。
どんな重荷を背負った人も
一個人であることに変わりはないのだ。