日本近現代史を勉強している。
「幕末から戦前の激動期を一望に収める決定版!」(本書腰巻より)、
板野潤治『日本近代史』(2012)を読む。
- 作者: 坂野潤治
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2012/03/01
- メディア: 新書
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中学のときも高校のときも
近現代史は駆け足だったように記憶する。
特に昭和以降は学んだ記憶も遠く霞んでいる。
試験の出題率が低かったことが影響しているのか。
近現代史を学ばずして昨今の政治経済の理解は
一面的感情的になってしまうように思える。
板野は西郷隆盛に惚れているのではないか。
前半3章「改革」「革命」「建設」は
西郷をひとつの軸として歴史を眺めていく。
後半3章「運用」「再編」「危機」には
特定の主役は見つからない。
歴史のうねりが個々の人物を登場させ退場させ
時計の針を先へ先へと進めていく様子が描かれる。
本書は慮溝橋事件の勃発後に太平洋戦争の終焉を予測した
武藤貞一の書『日支事変と次に来るもの』を紹介引用して終わる。
先を見る人間がいても変えることができぬのが歴史なのか。
75年後の未来から見ているから
武藤の視点が明快と思えてしまうのか。
歴史は既に過去の事実でありながら
いまを生きる自分に問いかけてくる。
ちくま新書書き下ろし446頁。
参考文献・史料6頁。索引9頁。
読み応えのある新書である。
「週刊東洋経済」2012年政治書1位。
(文中敬称略)