カンヌの天下を次に取るのは誰か


土曜日の朝のカンヌはまだ人が少なく静かである。
今年は12,000人が参加するというから、
これから続々カンヌ入りしてくるのだ。



登録を済ませ、
今年から新カテゴリーとして始まったイノベーションライオン
ショートリストプレゼンテーションを見に行く。
これがなかなか面白かった。



あらかじめショートリストに選ばれた25チームが
二人一組で10分間のプレゼンテーションをする。
最前列に座った審査員が10分間で質問しチームが答える。
その様子を僕たちは目の前で見ることができる。
密室で行われていた審査の一部が
カンヌ史上初めて公開されたことになる。
(賞を決める審査過程は公開されていない)



イデアを世界に広げる
プレゼンテーション・プラットフォームTED
審査員との質疑応答が付け加わったと言えばよいか。
現在の広告業界のトレンドであるテクノロジー
プロトタイプ(試作品)に焦点を合わせたエントリーが集まった。



  (プレゼンテーション直前に作戦を練る我が社のチーム)


各組のプレゼンテーションを聴いていると、
コピーライターとアートディレクターを一組にする方法を発明した
DDB方式とずいぶん変わってきた印象を受ける。
もちろん、カンヌには山ほどカテゴリーがあるから
イノベーションライオンだけを見て全体を判断する訳にはいかない。
けれども、アイデアをコーディングで考え
プロトタイプとして実現できる連中が
次の天下を取ろうと試みていることは事実だ。



過激なアイデアは人間や人間の集団としての社会の洞察、
政治、経済、哲学、古典など総動員しなくては生まれない。
技術にうとい人間がサバイバルできる可能性はまだ残るだろうにせよ
現状に甘んじず自らテクノロジーに食らいついていく覚悟が要る。
シニア、ベテランはなおさらだ。
こうした変化を現地で肌で感じるのがカンヌのよさである。