岩岡ヒサエ『なりひらばし電器商店』(2012-13)


岩岡ヒサエなりひらばし電器商店』(1・2巻)を読む。
いまから40年後の東京下町を舞台にした物語。
かつて世界一だった電波塔スカイツリー
もはや街の風景として完全に溶け込んでいる。


なりひらばし電器商店(1) (イブニングKC)

なりひらばし電器商店(1) (イブニングKC)


環境保全の意識が高く
3R(リユース・リデュース・リサイクル)法が施行。
ジョージ・オーウェル1984』ばりに
街の至る所に監視カメラが設置されている。
3R法に違反すれば営業停止などの処分を受けるから、
個人商店は冷や冷やだ。
なりひらばしで電器商店(環境重視で主にリース)を営む祖母の元から
東京の大学に通う森初音(はつね)が物語の主人公である。



2050年頃の東京下町。
しかも時代遅れであろう個人経営の電器商店という設定が素晴らしい。
そこには微妙な実在感と、
その街で暮らす人たちの顔が見えるような感覚がある。



岩岡は平成23年文化庁メディア芸術祭マンガ部門で
作品『土星マンション』でグランプリを受賞している。
ゆっくり進む物語の展開が楽しみだ。
隔週刊『イブニング』(講談社)連載中。