杉浦日向子『とんでもねぇ野郎』(1991/1995ちくま文庫)


真夏日が続く日々、
江戸の街に遊ぶのもいいなぁ、と思って出掛ける。
杉浦日向子『とんでもねぇ野郎』を読む。


とんでもねえ野郎 (ちくま文庫)

とんでもねえ野郎 (ちくま文庫)


江戸蒟蒻(こんにゃく)島、
もと女郎部屋を改装した道場「真武館」。
その道場主が物語の主人公、桃園彦次郎だ。
剣の腕はかなり怪しいが、
生きる才覚を発揮する。
その才覚はただ酒にありつくこと、
身の危険からいち早くずらかることにもっぱら使われる。



なぜこんな気のいい美人がダメダメ男に嫁いだかと
誰しも疑問に思う若菜が彦次郎に連れ添う。
若菜を慕う町人の子らが道場に稽古に通い、
ふたりは生計を立てる。



現代の贅沢とはほど遠くとも、
江戸の庶民の贅沢、遊び心にホッと一息つく。
カバーデザイン、題字を手がけた久住昌之と杉浦の対談が
昭和の子どもたちの遊びの細部に入り込んでいて楽しく懐かしい。


(文中敬称略)