マネジメント理論の父、とは知っていたが、
少年時代からこれほど人間観察に長けた人とは知らなかった。
P.F.ドラッカー『ドラッカー わが軌跡』(上田惇生訳)を読む。
副題は「知の巨人の秘められた交流」。
本書の内容は英語原題が的確かつ簡潔に示している。
"Adventures of A Bystander(ある傍観者の冒険)"。
- 作者: P.F.ドラッカー
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2006/01/27
- メディア: 単行本
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第一次世界大戦、第二次世界大戦の間に
ドラッカーがヨーロッパ、アメリカで出会った印象深い人たちを
15章に渡って紹介する。
ドラッカー自身が「新版への序文」でこう書いている。
本書は、私の著作のうち最も重要なものではないかもしれない。
しかし、最も楽しく書いたものであることは確かである。
(本書p.5より引用)
彼の言葉に偽りはなかった。
筆者が楽しんだだけでなく、
多くのドラッカーファンが「一番面白い本」と言っている。
僕も同感だ。
なぜか。
それは観察された人間ひとりひとりが
みなヘンテコで、有能で、魅力的だからだ。
あの時代のヨーロッパ、アメリカに
こんな人たちが暮らしていたんだと想像するだけで楽しい。
ドラッカーの観察は出会った他人だけでなく
自分にも及ぶ。
例えば、マーシャル・マクルーハンを取り上げた13章に
こんな記述がある。
フラーやマクルーハンのような(モノマニアックな=引用者注)人たちは、
一つの使命を遂行する。
私のような者は多くのことに関心を持つ。
しかし、何か物ごとが成されるとき、
それを成すのは、常に、単一の使命を持つモノマニアックである。
(同p.279)
- 作者: マーシャルマクルーハン,森常治
- 出版社/メーカー: みすず書房
- 発売日: 1986/02/21
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- 作者: マーシャルマクルーハン,栗原裕,河本仲聖
- 出版社/メーカー: みすず書房
- 発売日: 1987/07/01
- メディア: 単行本
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本書が読みやすいのは
上田惇生の新訳にも因る。
ドラッカーが信頼するだけのことはある。
最後に索引があれば、
ドラッカーが文中で紹介した人物、著作などを
さらに探索するのに助かる。
改訂版を出す機会があれば、
上田、ダイヤモンド社編集担当に望みたい。
- 作者: Peter Ferdinand Drucker
- 出版社/メーカー: Transaction Pub
- 発売日: 1994/02
- メディア: ペーパーバック
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(文中敬称略)