洗濯の合間に芥川賞選評を読む


尿路結石で死にかけた大王のフォロー治療のため
O動物病院の予約を取り、自転車で出掛ける。
この病気は難治性であることが多いため、
今後も二週にいっぺんくらい診せに行く必要がある。



コインランドリーに行き、
一週間分の洗濯ものを放り込む。
洗濯の30分、乾燥の50分を利用して、
近所の二つの図書館に出向く。
二つ目のK図書館で『文藝春秋』9月号を閲覧させてもらう。
毎度楽しみにしている芥川賞選評を読むためだ。



今回は又吉直樹が「火花」で受賞したので
各選考委員がどんな評を書いているか気になる。
又吉本人のインタビューも掲載されている。
芥川賞は受賞作二作を全文掲載する。
今月の『文藝春秋』で話題作「火花」を初めて読む人も多いだろう。


火花

火花


島田雅彦が「一発屋又吉君」と書いていて、
いかにも島田らしいと苦笑した。
まぁ、彼なりの激励パンチのつもりかもしれない。
僕は又吉は一発屋では終わらないと思う。
エッセイ、俳句集を読んで
初小説執筆に至るまでの蓄積、才能を感じていたからだ。



筆者自身が日々もがき続けている
漫才の世界を題材にした本作は別格に思える。
事前にマスコミであれだけ騒がれると芥川賞は逃すものだが、
それでも受賞した作品だ。
次作は苦しむかもしれない。



せっかく出てきた才能が
中途半端に引っ張り回されてつぶされないといいな、と思う。
一読者として見守っていきたい。
漫才の舞台を止めないと言っているのも頼もしい。
小説は寡作でもいいではないか。


(文中敬称略)