わたしだけが悪いのか—桝添要一氏インタビュー


きょうのスクラップブックから。
朝日新聞2017年5月30日朝刊。



都知事・桝添要一氏に
編集委員・駒野剛、小林恵士が辞任後、初のインタビュー。
記事を読み返してみると、
二人の受け答えが正鵠を射ている。
桝添氏の答えを省き、
インタビュアーの発言だけ数カ所抜き書きしてみよう。



   —豪華な海外出張や、
    神奈川県湯河原町の別荘通い、
    私的な旅行や美術品購入といった
    政治資金の不透明な使い方が、
    「あまりにセコい」「知事の資質に疑問がある」
    と都民の反発を受けたと私は思っていましたよ。


   —テレビで顔を売って時代の寵児(ちょうじ)となり、
    参議院比例区でトップになる恩恵を得たのは
    桝添さんご自身です。
    そのメリットとデメリットを熟知しているあなたが、
    いまさら「水に落ちた犬をたたく彼らはおかしい」
    というのも、せんない話に聞こえます。


   —著書「都知事失格」には、
    フランスの閣僚とか英国の公爵殿下とか
    ワシントンDCの市長などとの交流ぶりが、
    これでもか、と紹介されている半面、
    都民の庶民との交流はほとんど登場しません。
    知事として大切にする人、
    触れ合う相手を間違えたから、
    ピンチのときに応援してくれる人が
    出てこなかったんじゃないですか。



一方、桝添氏はこう語っている。


   1年間蟄居(ちっきょ)謹慎し、
   かすみを食って生きてきたので、
   謹慎を解除させていただこうと。
   先は考えていないが、
   経験をもとに本を書いて、
   誰かの役に立てればと思っている。
   (小林恵士記者の記事より引用)



謹慎は自分で解除するものではないだろう。
解除できるのは都民だけだ。
桝添氏の自分勝手な言い分は
都知事のときと少しも変わってないと僕には思えた。


自虐的なタイトルの自著「都知事失格」の宣伝のためなら
記者に多少突っ込まれても構わないと登場したのか。
その割り切りがあったのなら、そこは買う。
桝添氏にも家族にもこれからの人生がある。
著書は6月2日発売。
イムリーで、切れ味のいいインタビュー記事だった。


(公平を期すため著書リンクを貼っておこう)


(文中一部敬称略)