歴史学者・岡田英弘さん逝去


きょうのスクラップブックから。
讀賣新聞2017年5月31日。
歴史学者岡田英弘さん訃報。
5月25日心不全で逝去。享年86。



   (前略)
   モンゴルや中国の歴史に造詣が深く、
   日本古代史も研究した。
   世界史の始まりを、
   13世紀に出現したモンゴル帝国
   ユーラシア大陸の東西を結びつけたことに求める、
   独自の歴史観を提唱した。
   著書は「歴史とはなにか」「世界史の誕生」など多数あり、
   全8巻の著作集(藤原書店)が昨年完結した。



モンゴル帝国に着目した岡田史観は
十数カ国語で一次資料を読み込む氏の学識が下支えした。
学界の主流ではなかったものの、
一読者として知的刺激を受け続けてきた。


(全8巻、最後まで購入しました。手元に置いて折に触れ頁を繰りたい)


藤原書店藤原良雄社長の息の長いサポート、
妻・宮脇淳子さん始め岡田門下のみなさんの地道な努力で
集大成の著作集全8巻が2016年6月に完結。
氏の存命中に世に残せたことが何よりだった。
謹んでご冥福をお祈りします。


世界史の誕生─モンゴルの発展と伝統 (ちくま文庫)

世界史の誕生─モンゴルの発展と伝統 (ちくま文庫)

(岡田史学を学ぶ一冊目としておすすめ。世界史の見方が変わる)


wikipedia: 岡田英弘


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追記(2017年6月6日):
讀賣新聞2017年6月5日朝刊「編集手帳」より引用。



歴史学者岡田英弘さんが先月、死去した。
中国とモンゴルの文献を駆使した研究者だった。
本紙のデータベースでその名前を検索して見つかった記事は、
この20余年で10本もない。
マスコミにひっぱりだこだったとは言えない。
一連の著書は、様々な分野の目利きらにより、
書評欄で紹介されてきた。
(中略)


「嚢中(のうちゅう)の錐(きり)」のたとえを連想する。
きりは、おのずと袋を突き破る。
言葉が、歳月に埋もれずに、後世の人々をも刺激する。
今度、図書館の棚の間を歩くときには、
天才のきらめきを探してみようか。