キリスト教や神学は講義を聴いたり本を読んでも
なかなか肌感覚で掴めないところがある。
ところが「悪」の補助線を引くと、
「なるほど!」と合点がいくことが何度かあった。
「悪」に着目すると、「善」を読み解けるのか。
佐藤優『悪の正体—修羅場からのサバイバル護身術』(2017)を読む。
- 作者: 佐藤優
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2017/06/13
- メディア: 新書
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章立ては以下の通り。
第1章 悪は人間によって行われる
第2章 カネと欲望から生まれる悪のシステム
第3章 誰の中にも悪がある
第4章 不条理さに何を見るか
第5章 言葉だけで心理を操る
第6章 直観と洞察力を働かせる
第7章 角度を変えて世界を見る
付録 一から分かる「新約聖書」の読み方と
忙しい人のためのワンポイントレッスン
本書のベースになったのは
2014年2〜3月に全4回(各2時間)で行われた以下の講座ではないか。
●朝日カルチャーセンター新宿教室・学生会員講座
「悪魔論(サタノロジー)の研究
− 宗教・思想はいかに『悪』を脱構築してきたか」
(メルマガ「佐藤優直伝・インテリジェンスの教室」Vol.50から引用)
ただし、森友学園・忖度事件など最新エピソードの分析を交え、
全面的に内容をアップデートしていると思われる。
(そのためか、本講座に関する記載はなかった)
講座受講の前提として
映画『闇金ウシジマくん』『人のセックスを笑うな』
を観ておくこととしている。
悪の現代性に取り組む著者の姿勢がうかがえる。
本書でも同2作の著者の記述は興味深い。
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馬場岳人(朝日新聞出版写真部)の著者近影表紙カバーが怖すぎて
佐藤優が悪人のように見えてしまう(失礼!)。
付録「新約聖書」の読み方、
文章の書き方、本の読み方についての
ワンポイントレッスンが懇切丁寧。
著者の読者へのサービス精神がうれしい。
僕はこの付録で初めて「引照」の正しい意味を知った。
てっきり「インデックス」のことかと勘違いしていたが、
聖書本文の下にある細長い一覧のことだった。
ここに記されている参照箇所を読むことで
聖書の立体的理解を深める役目を果たしている。
聖書学をかじったことがある人ならば、
引照付き聖書以外の聖書では物足りず、
不安になって居心地が悪いのがふつうなのです。
(p.232)
うっかりしてインデックス付き、
引照なしの聖書を買ってしまったよ。
編集担当・中島美奈(朝日新聞出版)
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