逃げなければ無駄にはならない(阿部恭子)


スクラップブックから。
朝日新聞2017年9月7日朝刊。
「ひと」加害者家族を支援するNPO理事長
阿部恭子(あべ きょうこ)さん(39)



   重大事件の加害者家族には自死する人が少なくない。
   相談できる専門の窓口がないことを知り、
   東北大大学院で法律を学んでいた9年前、
   全国ではじめて加害者家族の支援活動を始めた。
   (中略)


   「あいつの父親、人殺しだよ」。
   中学校の時、そう名指しされた男子について
   「あの子が怖い」と、憧れの塾の先生に相談した。
   「君は将来、自分の親と同じになるの?」
   親が犯罪者だからと同一視して差別した自分が
   恥ずかしかった。その体験が根底にある。
   (中略)


   「被害者支援が大切なのは言うまでもないが、
   加害者家族の存在と現状も認識してもらいたい。
   支援で家族が変われば、加害者にも影響を与え、
   再犯防止にもつながります」



阿部恭子さんは、
NPO法人「ワールド・オープン・ハート」(仙台市)理事長を務める。
全国から寄せられた相談は計1千件。
約50件が継続中だ。
世の中には、大多数の人が見ようとしない課題に向き合い、
行動する人がいると教えられる。