カズオ・イシグロ・インタビュー(『文學界』2006年8月号初出)


きょうの目標にしていた仕事がうまく片付いた。
1時間、時間休を取って、16時30分で店仕舞い。
歩いて15分ほどの公園内にあるH図書文化館に
借りていた本を返しに行く。


勤めている会社は年間35時間(=年休5日分)まで、
時間休が取れる制度を採用している。
半休を取るほどでもない私事、ゆとり時間を作るのに
とても重宝している。



新聞広告で気になっていた「文學界12月号」を見つけた。
ノーベル文学賞を授賞したカズオ・イシグロのインタビューが
読みたかったのだ。
タイトルは、
カズオ・イシグロが語った「村上春樹と故郷・日本」。



実は受賞後のインタビューではなく、
ジャーナリスト大野和基がロンドンで
2006年にインタビューしたものを再掲載した(同年8月号)。
とは言え便乗商法でなく、中身の濃いインタビューだった。
H図書文化館では最新号はもちろん、雑誌を貸出をしていないので
細かいメモは取れなかった。


わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)

わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)


当時51歳だったイシグロの新作小説
『わたしを離さないで』について
大野が突っ込んだ質問をしていく。
イシグロは適切な言葉をできる限り探し出し、
自分の気持ち、考えを精度高く伝えようとしている。


村上春樹を作家として敬愛していると語り、
ロンドン、東京で何度か会ったことがあると大野に応える。
二人でジャズの話をしたらしい。



僕は映画『日の名残り』を観た記憶はあるけれど、
その後、原作を読んだかどうか、忘れてしまった。
帰りがけに本棚を覗いてみたら、
イシグロのコーナー一角が空っぽになっていた。


Wikipediaで調べたら、
きょう11月8日がカズオ・イシグロさんの
63歳の誕生日ですね。
おめでとうございます。


日の名残り (ハヤカワepi文庫)

日の名残り (ハヤカワepi文庫)

wikipedia:en:Kazuo Ishiguro
(文中一部敬称略)


●●●
追記(2017年12月8日):


   ノーベル文学賞を受賞する日系英国人の作家
   カズオ・イシグロさんが、7日夕(日本時間8日未明)、
   ストックホルムスウェーデンアカデミーで
   「My Twentieth Century Evening
   — and Other Small Breakthroughs
   (私の20世紀の夕べ—そして、その他のささやかな発見たち)」
   と題して記念講演をした。
   市民ら約500人が、50分間の演説に耳を傾けた。
   (略)


   講演の最後に、
   ジャンルや形式にとらわれず新しい才能を発見しようと呼びかけ、
   「私はいまだに文学は重要であると信じている。
   分裂の危機が増加している時代に、
   私たちは耳を傾ける必要がある。
   良い作品と良い読書は障壁を打ち破ります」
   と、文学が社会の対立を乗り越える力となることを訴えた。
                   (ストックホルム=吉村千彰)
                  (朝日新聞2017年12月8日朝刊)



6日の記者会見では
こんな発言もしていた。


   受賞への日本の反応には
   「村上春樹さんを期待して失望したと聞いていたが、
   私が日本生まれだと聞いて肯定的に受け入れてくれた」と笑った。
                   (讀賣新聞2017年12月7日朝刊)


なかなかの人物だと僕は思った。