猫の思い出二篇


スクラップブックから
讀賣新聞2018年4月12日朝刊
こどもの詩
いつもの想い出 先崎(まつさき)祐理


   ポカポカひだまりの中
   いつもそこにいたのに
   トントントン
   指先でガラスをたたいて
   ただいまの合図
   でも もうそれは
   キラキラ光るあたたかい思い出


       (茨城県那珂市・瓜連中2年)



(猫とは一言も書いていないのに伝わってくる)


朝日新聞2018年4月11日朝刊
ひととき
茨城県桜川市 河原美知子(無職 67歳)
チビちゃんありがとう


   3月23日、最後まで頑張ってくれた、
   愛猫のチビは天国へと旅立ちました。
   今は亡き父が手植えしたしだれ桜の下に眠っています。
   父に会えましたか。
   (略)


   チビは10年前、父の三十五日法要の日に
   我が家に迷い込み、そのまま住みつきました。
   涙していた私に、猫好きの父から
   最後のプレゼントだったのでしょうか。
   心優しく頭がいい一方、心配性なところが父そっくり。
   (略)


   私の姿が見えないと家中を探し回り、
   トイレの網戸まで飛び上がるチビ。
   網戸に前脚の爪をひっかけてきょろきょろ見回し
   のぞき込む姿はムササビのようで苦笑いしたものです。
   (略)


   チビちゃん、10年間、
   愛と感動と希望をありがとうございました。



先崎さん、河原さんが
どんな風に猫と暮らし、猫を愛し、猫を見送ったのか、
思わず想像した詩とおたよりでした。