スクラップブックから
朝日新聞2019年1月28日朝刊
本田靖春「拗ね者」のまなざしとは
対談:後藤正治・武田砂鉄
ノンフィクション作家・本田靖春の人と作品を追った
『拗(す)ね者たらん』(講談社)を出版した著者・後藤正治、
河出書房新社・編集者時代にムック本、短編集『複眼で見よ』を担当した
ライター・武田砂鉄が語り合う。
後藤 いまの出版不況で、
ノンフィクションの世界に生きる者が書く場が
より限られてきてはいる。
ただ武田さんもそうですが、
時代の要請によって書き手は生まれてきています。
(略)
後藤 ジャーナリズムは何のためにあるのか。
社会の健全性のためにある、
という本田さんの志は微動だにしなかった。
武田 それこそが本田ノンフィクションの描く、複眼的な世界です。
自分には、いま風の、「分かりやすいもの」への抵抗感が強くあります。
ただし、読者をストレスなく引き寄せるために、
そういう書き方をせよと、とりわけ若い書き手は求められている。
困ったものだと思っています。
(略)
二人は本田靖春の人と仕事を語りながら、
現在のノンフィクション作家の仕事環境の危機も語っている。
本田が『不当逮捕』で受賞した講談社ノンフィクション賞は、
19年度から「講談社 本田靖春ノンフィクション賞」と改称する。
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