佐藤・西原コンビが「とりあたま」シリーズに続いて
少年少女に向けて面白い本を出した。
佐藤優・文/西原理恵子・絵
『12歳からはじめよう 学びのカタチ
—優くん式「成績アップ」5つの秘密』(NHK出版、2019)を読む。
「はじめに」からサイバラおばちゃんの漫画を引用する。
サイバラおばちゃん
「優くんはね かしこいけど 大人になって
いろいろやらかした人だよ」
「生きてるとやっぱね天災みたいな事が何回もあるんだ」
「そんな人生でド派手にすっころんだ時どうやって立ち上がるか
そこに優くん式勉強が役に立つんだって」
優くん
「Yes」
サイバラおばちゃん
「勉強ちょー出来ないサイバラおばさんも読んでみよう」
(p.004)
優くんの言葉も引用してみよう。
だからこそぼくは、
状況がどう変わっても影響(えいきょう)をうけないような、
「学びのカタチ」を、この本できみたちに伝えたいと思っているんだ。
ここでぼくが言うカタチとは、
「ものごとを学ぶ姿勢」
のこと。 「型(かた)」と言ってもいいかもしれないね。
具体的な知識のことではないよ。
どんな勉強にも応用できるし、
きみがこの先、受験をしたり、
おとなになって仕事をしたりするときにも
かならず役に立つものなんだ。
学びのカタチは、わずか5つ。
①「ワザありの時間管理術」
②「90分間、机にむかって集中するコツ」
③「苦手なところ・弱いところを自覚する方法」
④「スイスイ暗記するための奥の手」
この4つはいずれも基本的なことだよ。
でも、おとなでもきちんとできていないことが多いんだ。
そして、もっとも重要なのが、
⑤「インプットとアウトプットの方法」
いま、アクティブ・ラーニングの話をしただろう。
インプットとアウトプット、
この2つをじょうずにこなすことさえできれば、
アクティブ・ラーニングだってコワくはない。
他人の意見にふりまわされることなく、
自分で考えて判断することができるんだ。
(pp.007-009)
この本を読み、勉強の型を身に付け、
自分で考え判断できる日本の12歳が次々出てくることを期待したい。
巻末に、本書で取り上げた本とWEBサイトを
目的別にまとめたリストを付けているのも行き届いている。
(時事問題に二人がズバズバ斬り込む「とりあたま」シリーズもオススメ。
文庫版でなく大型本で読んだ方が漫画、台詞の細部まで楽しめる)