トニー滝谷と晴れた家





このところなんとなく市川準さんのことが気になっていて
トニー滝谷」のDVDをアマゾンで購入して観る。
本編とともに村松正浩監督のメイキング・ドキュメンタリー
晴れた家」がもう一枚のDVDに収録されている。
両方の作品をまとめて観ると、これがおもしろい。



映像制作の現場ってこうだったよなぁ、と記憶が蘇る。
ものづくりのプロセスは本当に大変で、本当に楽しいことなのだ。
なんせ本編が76分で、メイキング・ドキュメンタリーが68分。
後者もレイトショーで上映された作品なのである。


市川準さん、イッセー尾形さん、宮沢りえさんのインタビューは
二つの作品を観終えた後に観たから
ひとつひとつの言葉がスッと身体に入ってきた。
映画公開後、まだ自分の中で感想が固まりきっていないときに
言葉を大事に選んで選んで三人が話しているのが伝わってくる。



予算がなかったためかもしれないが、
横浜の空き地で日々セットを作り直して撮影したエピソードが
僕には一番面白かった。
まさかそんな撮り方をしたとは少しも気づかなかったが、
その撮影方法がこの作品の仕上がりに影響を与えたことは
間違いない。実験的な匂いが残っている。


すべてを観終えたいま、
もう一度本編を観直してみたくなった。
村上春樹の原作も読んでみたい。
市川さんが亡くなったから彼の作品が観たいのか、
それともそれは単なるきっかけに過ぎず、
作品がいま僕を呼んでいるのか。



2008年も「デジタルノート」にお立寄り、ご愛読下さり
ありがとうございました。
毎日50人前後の読者がいてくださることは、
いまはなくなった渋谷ジァンジァンで
ギター一本で弾き語りコンサートをやっているような気持ちです。


勝手気ままな道草ばかりで、
みなさんの人生に役立つことはそうそうなさそうですが、
人生にはそんな時間も少しは必要かもしれません。



みなさん、どうぞよいお年を。
いつまで続くか分かりませんが、
2009年も時間が許すときは
ときどきデジタルノートにお立寄りください。