学習する楽しさを提供する店

コーヒーを売る店で豆も売るか。
豆を売る店でコーヒーを飲ませるか。
同じことのようだが店のコンセプトとしてはずいぶん違う。
僕がひいきにしている「やなか珈琲店」は後者で、
ずらり並んだ豆と対照的にシンプルなカウンタ−が用意されている。



挽いてもらう豆はそれなりの値段をとるが、
カウンタ−で飲むコーヒーは「なんとなく試飲価格」。
日替りで種類の異なる豆で飲ませる本日のコーヒーが180円。
豆で買うより安い価格を設定している。



一方で200円出せばコーヒーを飲ませるチェーン店が
あちこちで出店していて互いに競争している。
こちらは豆を売る店もあれば、売らない店もある。
「やなか」のコンセプトは、
店で売るコーヒーを、コーヒー豆専門店の試飲価格で、
と位置づけたところが新しいと思う。


他のチェーン店よりやや安い価格で
客にさまざまな種類の豆を有料試飲してもらい、
自分の好みの豆を今度は自宅用に買ってもらう。
客が学習する楽しさを店が提供しているわけである。
品物を説明するカードのデザインなども細部まで工夫している。



カウンタ−で一服しながら、そんなことを思いつらね、
自分の商売の参考にしようとしている。