ある先駆的技術者の引退


いまから十数年前に
秘湯会と同居人のオーダーメイド自転車計3台を作ってくれた
東京サイクリングセンター板倉修一郎さんが店を閉めていた。
2008年末のことだった。
ここのところ自転車の調子もよく特に用事もなかったから
うかつにも気づかなかった。



久しぶりに、週末のサイクリングがてら、
一二カ所、板倉さんに修理してもらおうと
副会長と二人で立ち寄ってみて初めてその事実に気づいたのだ。



板倉さんは50年もの間、
日本のサイクリング文化発展に貢献しようと
自分のブランドを立ち上げ、オーダーメイド自転車を作り続けてきた人だ。
彼の顧客たちはその自転車でヨーロッパまで遠征していた。
旅の地でのトラブルにも
東京からサポートを続けてきたのが板倉さんだ。


秘湯会は遠征に行くまでのサイクリストではなかったが、
板倉さんのブランドZephyr(ゼファー)を
細く長く愛してきたのだった。



  (小生が十数年乗っている愛車、Zephyrブランド)


さぁ、これからメインテナンスをどうするかは頭が痛い問題だが、
それはさておき、板倉さんのような先駆的技術者が引退することで、
50年に渡って蓄積してきた経験、技術、知見が散逸してしまうのは
なんとも惜しいことであると僕は思うのだ。
日本のどこかに彼のお弟子さんがいたりしないものなのか。