「ルノワール〜伝統と革新」(新国立美術館)を観に行く。
一度は観ておきたかった展覧会だ。
僕の絵画の見方はこうである。
展示してあるすべての作品から
一点だけ頂戴できるものと妄想するのだ。
いただけるとなると、それが仮定の話でも見方が真剣になる。
少なくとも僕の場合は。
まずは最初から最後までザッと大急ぎで流して見る。
きょうの展覧会の全作品を俯瞰してみるのだ。
なんせ自分の選んだ作品を一点いただけるのだから、
全体像を把握しておく必要がある。
それから入り口まで再び戻って今度は一点ずつ見ていく。
気になる作品、気に入った作品は少し時間をかけて丁寧に見る。
さて、どれをいただくことにしようか。
そして、最後にもっとも気に入った作品を
後悔のないようじっくり見直す。
きょうの僕の一点はこの作品だ。
「テレーズ・ベラール」(1879)。
ルノワールのパトロンになった銀行家兼外交官の
13歳の娘を描いた作品である。
日本の女優で言えば蒼井優さんに似ているだろうか。
知的で品のいい顔立ちが深く印象に残り、
迷わず「僕のきょうの一点」に選んだ。
「ポール・ムーニエ」(1877頃)も目を引いた。
やはりパトロンだったレストラン・オーナーの息子を描いた作品だ。
少し大人びた表情や仕草がたまらない。
テレーズといい、ポールといい、
こんな少女少年と会話を交わせたらどんなに愉しいことだろう。
僕の心は百数十年前のフランスにタイムスリップしてゆく。
(4月5日まで六本木の新国立美術館にて開催中。
毎週火曜休み。10時ー18時。金曜日は20時まで開館。
作品の写真は美術展で購入したポストカードから引用しました)