「運慶」@東京国立博物館(上野)


ずいぶん前から観ておきたいと思い、
ようやく実現にこぎつけた。
上野・国立博物館特別展示「運慶」を観に行く。
駅ビルの安売りチケットショップEで
前売り券が2枚だけ出ていて、一般1,600円が1,400円。
200円の差額でもうれしいね。



    (前日までは1,550円で出ていた。値引率からも人気が忍ばれた)


午後、3時間の時間休を取る。
Twitterで混雑情報が入手できる。
早い時間帯に行っても
50〜70分待ちとなるから意味がない。
この日は16時30分までで入場終了。
展示は17時まで。
いくら混雑が緩和していても30分じゃ満足できないし、
せっかくのチケットがもったいない。


人間の考えることはだいたい同じ。
できるだけ待たずに、できるだけゆっくり観たい。
自分なりに仮説を立て、
15時30分目安に現地に到着すれば
待ち時間は少なく、1時間プラスαは観られるに違いない。


傘を持たずに会社を出てきたら、
雨がだんだん強くなってくる。
困ったな、やむと思ってたのに。
会場の平成館に着いたら、ギョギョギョ!(さかなクンじゃないけど)。
テントの外でまだ人が並んでるぜ。
ここまで来たら帰る訳にも行かない。



雨に濡れながら待つことにしたら(みなさんは傘持参)、
10分ほどでテントの下へ。
さらに10分ほどで会場に入ることができた。
閉館まで70分は観られる!


中は中で人人人。
文字や図表のパネルはすべて飛ばして、
とにかく現物を観る!
弟子や子どもの作品には時間をかけず、
運慶と父・康慶の作品を重点的に(実は二人の作品はそれほど点数はない)。


僕の見方は第一会場、第二会場をまずサササッと観る。
これが第一ラウンド。
第二ラウンドは気になった作品を中心に観る。
第三ラウンドは自分のベストを決めて、
じっくり観る。
限られた時間をフル活用して
都合3回、観るのです。


なんのことはない。
国際広告賞の審査のやり方を踏襲して、
第一ラウンドでファイナリストを決め、
第二ラウンドで金銀銅を決め、
第三ラウンドでグランプリを決めるのだ。
審査員を頼まれた訳でもないのに失礼な話だが、
70分で重層的に観るにはこの方法が僕には一番向いている。



         (八大童子立像より6体/特別展「運慶」公式サイトより引用)


僕のグランプリは二点。
作品No.7 康慶作「四天王立像」
鎌倉時代・文治5年、1189)奈良・興福寺(仮講堂安置)
作品No.18 運慶作「八大童子立像」
鎌倉時代・建久8年、1197頃)和歌山・金剛峯寺
この二点はレベルが違った。
異次元の作品だ。




康慶「四天王立像」は2009年「国宝・阿修羅展」
東京国立博物館)で一度実物を観ている。
8年ぶり二度目だが、やはり群を抜いている。
「阿修羅展」「運慶」はどちらも照明が素晴らしく、
360度どこからでも観られる展示が印象深い。


屈強なSPがいる訳でもないし、
入場の際、身体検査・荷物検査をされる訳でもないので
不心得者がいたら大変だと余計な心配をしてしまう。
いまのところ、事故もないようなので、
最後まで無事で展示が終了することを祈りたい。


この日で入場者は40万人を超えた。
2017年を記憶する展覧会のひとつになることは間違いない。
40万人が身銭を切り(招待は別として)、時間を割いて
こうした展示に集まる事実は
日本社会の誇る文化的一面だなとホッとする。


今月26日まで。
最後の5日間(22~26日)は曜日に関わらず
21時まで開館することに決定。
粋な計らいに拍手するとともに、
裏方のみなさま、残業勤務、ご苦労さまです!


康慶
運慶
平凡社世界大百科事典/ジャパンナレッジより引用)


●●●
追記(2017年12月3日):



朝日新聞2017年11月28日朝刊)


入場者は最終的に60万人を突破しました。
東京だけの開催でこの来場者数。
間違いなく、2017年の記憶すべき展示となりましたね。