『スタッズ・ターケル自伝』(2010)


スタッズ・ターケル自伝』
(金原端人・築地誠子・野沢佳織共訳)を読む。


スタッズ・ターケル自伝

スタッズ・ターケル自伝


ターケルは『「よい戦争」』でピュリッツァー賞受賞。
市井の人たちをインタビューし著作にまとめる
オーラル・ヒストリー(口述の歴史)をもっとも得意とする。
村上春樹も『アンダーグラウンド』を著す際に
ターケルの仕事に影響を受けたと書いている。



アンダーグラウンド (講談社文庫)

アンダーグラウンド (講談社文庫)


スタッズ・ターケルの生きた100年は
アメリカメディア史の100年である。
僕はアメリカに対して愛憎半ばの感情を持つ。
それだけにターケルの本を読みながら、
アメリカに対する愛情の半分を思い出したかった。



ターケルはこの本で大恐慌が人々に、あるいは自分に
どう影響を与えたか、繰り返し繰り返し語っている。
2年前のリーマン・ブラザーズ破綻から始まった世界不況は
本質的にはなにも解決がついていない。
歯に衣着せぬジャーナリストの洞察、言葉は
僕たちが生きる時代にも風化していないと僕は思う。