小茄子とハエタロウの国境紛争


斜め向かいのMさんの飼い猫、小茄子は凶暴である。
オス2歳、体重8kgを越える。
我が家の居候猫、ハエタロウの領分にしばしば侵入し、
そのたび、互いに尻尾をふくらませて吠え、威嚇しあう。
もっともハエタロウもMさん宅駐車場に日々出入りし、
自分の陣地だと思い込んでいる節がある。
どっちもどっちなのである。



   (お隣のEさんの庭に逃走した小茄子。いまだ警戒モード)


ただ、ハエタロウは小茄子との闘いによって
ストレスを激増させ、歯肉炎を悪化させる。
猫の歯肉炎は恐ろしく、
放っておくとご飯が食べられなくなるばかりか、
ノドにまで炎症が広がり水も飲めなくなる。
死の病なのだ。



   (闘いに疲れ、我が家で一息入れるハエタロウ)


これはいかんとなるとO動物病院に連れていき、
ビタミン入り抗生物質の注射を打ってもらうことになる。
ステロイドを使うからひんぱんに注射に頼る訳にはいかない。
ステロイドはやがて効果が落ちてゆき、肉体を滅ぼす。
せめて小茄子が我が家に侵略したときは
同居人と小生がすかさず機動部隊として威嚇しにいく。
国境をめぐる争いは人間だけのものでないことを知る。



   (中立を標榜するコトランと黒兵衛)


小茄子はもはや大茄子といっていい体格だが、
小茄子の実る時期にもらわれてきたため、そう名づけられた
とMさんちの小学生の息子が教えてくれた。
猫の国境紛争からも目が離せない日々を送っている。