Sympathy(共感)が世界を動かしている


あるクライアントでの
プランニング・セッションが終わった。
仲間たちとチームを組んで夏から三ヶ月準備してきた。
100人ほどのみなさんと二時間半のセッション。
反応はよかったんじゃないかと思う。



僕は今年のカンヌ国際広告祭入賞作を紹介しながら
コミュニケーション・デザインの最前線について話した。
最後にさとなおさんが自身のブログで9月に提示した
SIPS」に触れてみた。
SIPS」は生活者の購買行動に関する
さとなおさんの最新仮説である。


生活者はもはやAttention(注意喚起)では動かず、
企業や製品、ブランドに対するSympathy(共感)を出発点に
行動を開始すると指摘する。
興味ある人はブログ「さなメモ」にリンクしておくので
原文で読んでみてください。



セッションが終わって仲間とビールでもと思ったが、
あいにくメンバーのひとりが療養中で
酒も食事も大幅に制限がある。
残念だが、後日、蕎麦屋で昼食打ち上げをやることにする。
僕はひとり新宿東口ベルクに向かう。
ベルクについてはきょうのセッションでも追加で触れたのだ。
コミュニケーションやSympathy(共感)について考察するのに
格好の事例であると考えたからだ。



ベルクは、きょうで三回目。
初めてビールをいただく。
皿やグラスを返却する場所の片隅が空いていたので
そこで立って飲み始める。
テーブル席もあるがこの店は立ち飲みが基本だ。
15坪の隠れ家ベルクは各自少々の空間を利用して
「どこで飲み食いしても大丈夫ルール」を適用しているようだ。
その代わり、お客さんやスタッフが脇を通るときは、
すきまを作って通り抜けの邪魔にならぬようにする。



この場所はベルクの生態系を知るために絶好だった。
行列しているお客さんの注文の様子や
キッチンでのスタッフの動きが観察できる。
さて、夜メニューの味は?
いやぁ、三度の訪問で今回が一番楽しかった。



ビールも、ハムも、豆のピクルスも、パンも、
全部がおいしくって写真を撮るのも忘れてしまった。
僕たちチームにとって
ひとつの大仕事が終わった解放感も無論あるんだろう。
体調を整えておくためにこの二日間はお酒も抜いていたしね。


日計り Shinjuku,day after day―迫川尚子写真集

日計り Shinjuku,day after day―迫川尚子写真集


   (ベルク副店長・迫川尚子の写真集。
    迫川はフォトグラファーでもある。
    書名の「日計(ひばか)り」とは
    森林の水辺に棲むヘビの名。
    かまれると一日のうちに死ぬことから名づけられた。
    写真から新宿の街の息づかいが聞こえてくるようだ)


ベルクにますますはまっていくような
イヤな予感がする。
さとなおさんが指摘するように
Sympathy(共感)が世界を動かしているのかもしれない。
こどもの頃から凝り性の自分が怖い……


新宿駅最後の小さなお店ベルク 個人店が生き残るには? (P-Vine BOOks)

新宿駅最後の小さなお店ベルク 個人店が生き残るには? (P-Vine BOOks)