山のいで湯に抱(いだ)かれて


秋の連休を利用して、秘湯会の聖地・小谷(おたり)温泉へ。
長野の最北端、山を上がれば新潟である。
江戸時代創業の老舗「山田旅館」を訪れる。
秘湯会7年ちょっとの歴史で四度目の訪問は、
魚沼の栃尾又温泉・宝巌堂と並び最多となった。




山田の何が秘湯会を惹きつけるのか。
それは一にも二にも湯質である。
47℃の源泉がそのまま打たせ湯となり内湯になる。
名湯「現夢(うつつ)の湯」に抱かれていると、
心をわずらわせることはみな雲散霧消してしまう。
宿のみなさんが代々守ってくださる大自然の恩恵を
ときおり分けていただきにここまでやってくるのだ。




山田に入る前に「そば神」に寄って腹ごしらえをする。
冷たい蕎麦と温かい蕎麦、両方味わいたい。
蕎麦のうまさはもちろんだが、
蕎麦湯がうまいので驚く。
白馬の天然水を使っている。




「そば神」で山菜のつまみを仕入れ、
宿の酒盛りのあてにする。
山田の水で割ったウイスキー
ふたりで一本近く空けても翌日二日酔いした試しがない。
ビールも日本酒もいただいた後で、
なおもグラスがすいすい空になる飲み口の良さなのだ。