秋田、ハタハタ、生卵


高校生のときに初めてアルバイトをしてお金を貯め、
級友の実家、秋田に遊びに行きました。
ハタハタを食べさせてもらったのは
たぶんそのときが初めてだったでしょう。
以来、寒くなって、ハタハタが出始めると気になります。
一時は絶滅を心配されたものの、
漁協が禁漁時期を設けるなど努力して
有難いことに今年もこうして比較的安価に食べられます。



水曜日。「中川」の黒板メニューに
「秋田ハタハタ醤油焼き」が登場。
「中川」は客の注文を受け焼き始めるので、
あわただしい日の昼食には焼き魚は取れません。
きょうは大丈夫。
味噌汁、漬け物が付いて750円。
僕の後にふたりほど注文が続いて、早くも売り切れです。



僕が高校生のときにアルバイトしたのは
東京駅構内のあるレストラン。
昼食付きと書いてありましたが、
出るのは毎日毎日、ご飯と生卵だけ。
見かねた母がおかずを作って持たせてくれました。
ベテラン店員がそれをうらやましそうに眺め、
「いいなぁ、オレなんか、ずぅーーーとこのかた、
 ご飯と生卵だけだよ」。



社会に出て働いてお金をもらうって
ずいぶん大変なことなんだなぁ。
17歳の高校生は生卵ご飯をいただきながら
感じたのでありました。