トラオの永いパトロール


僕が仲良くしていた近所猫トラオが
「永いパトロール」に出ていたことを知った。
以下は飼い主Tさんが家の前に掲示した文章である。



   トラオちゃんを可愛がって下さった
   皆様へ 御礼とご報告


   三月一日の朝、いつものように朝ご飯を食べ
   いつものようにパトロールに出かけましたが
   帰って来ませんでした。探しながら帰る
   のを待ちました。お彼岸まで待ちましたが
   帰りません。
   十七歳、人間でいえば九十歳という高齢で
   あり、体力も衰えていましたので、永いパトロール
   に旅立ったものと思われます。
   野良の仔として生れ、Kの地で成長し
   縄張りを守り、パトロールをし、皆様に愛さ
   れ、とても幸せの猫生を送ったと思います。
   長い間、仲良くしていただき、可愛がって
   いただき、ありがとうございました。心から
   御礼申し上げます。


   2011 三月 T





友を失うことは
自分の一部を失うことであり
ともに過ごした時間を失うことである。
後には記憶だけが残される。
僕が記憶を持ち続ける限り、僕のどこかで友は生きている。
トラオはきっと朝のパトロールを終えて、
天国のオートバイの座席にいつものように座っている。