ポン・デ・ケイジョが恋しい人


ベルリンスクール級友、リオ・デ・ジャネイロのCláudiaは
番組コンテンツを買い付ける仕事をしていて世界中を旅している。
「そんなとき、なにが恋しいかって、
 そりゃポン・デ・ケイジョよ」
と彼女は断固おっしゃる。その正体がこれである。



ポン・デ・ケイジョ、ポルトガル語で「チーズパン」。
僕の通勤経路であるターミナルS駅のパン屋Hで見つけた。
一見どうってことのない普通のパンだが
ひとくちかじるとモチモチッとした食感。
でも、ベーグルとは違う。
キャッサバ粉、鶏卵、オリーブオイル、塩、それにチーズを使う。



アダプテーションの天才・日本人は
スタンダードなポン・デ・ケイジョとは別に
枝豆を混ぜ込んでポン・デ・枝豆までつくってしまった。
これがうまい。なるほどクセになる。
きっとCláudiaに言わせれば
本場の味、家庭の味とはほど遠いのだろうが、これはこれで充分うまい。
僕の朝食の定番のひとつになったのだ。



ブラジルでは空港や駅の売店などに売っていて
長距離移動のとき空いた小腹をしずめるのに食べることも多いらしい。
どうりで、Cláudiaが世界を旅するときに
ポン・デ・ケイジョを思い出して恋しくなるのだ。
ブラジル人のソウル・フードのひとつである。
僕たちの食文化で言うと、おむすびの存在に当たるのかな。