段ボールスタジオの創造性


ティーブ・ジョブズたちアップルの歴史をひもとくまでもなく
最先端のクリエティビティはガレージから生まれる。
実例が身近にあった。紹介する。
番組 "Tokyo Copywriters' Street(TCS)" は、
2005年に東京FM番組の一コーナーとして誕生し、
2010年からは「0円プロジェクト」としてネットでのみ配信されている。
既にネット配信を始めて一年近い実績を持つ。



「0円プロジェクト」と言いながら
そのクリエティビティの高さは尋常ではない。
第一線のコピーライターたち、
新鋭コピーライターたちが毎月新作ストーリーを書き、
これまた活躍中の声優、俳優、女優、怪優たちが原稿を読む。
ミキサーには業界人から天才とまで呼ばれたM氏が参加。
以上のフィーはすべて0円である。
交通費、弁当代もいっさい出ない。



「0円プロジェクト」であるからしてスタジオは使えない。
スタッフが「段ボールスタジオ」と愛称で呼ぶ
R社オフィスを使って録音。
段ボールに詰めた機材一式を取り出すと
そこがスタジオに早変わりするから段ボールスタジオだ。
クーラーの音が入れば録音がだいなしだから、
とりわけこの時期の収録は苛烈を極める。



そこまでしてネット番組 "Tokyo Copywriters' Street" が
継続できる秘密はなんだろう。
ラジオ番組、ラジオCMは良質なものが生まれにくく
危機的状況が続いている。
しかし、ネット配信番組TCSを聴く限り、
作り手のクリエティビティは少しもレベルが落ちていない。
それどころか、才能たちはこの場を得て
創造性を拡大深化させている。
ここでは有名無名もなく自発性がすべてなのだ。
ガレージのクリエティビティがこのスタジオには確実にある。



テクノロジーの進歩と、情熱の掛け算で
予算がなくても、スポンサーが提供する番組がなくても
これほどのことが現代において実現できる事実を証明している。
それはなんと素敵で、ラディカルなことではないか。
下線部をクリックしてぜひ一度サイトを訪問してほしい。
「耳ウロコ」が落ちること、間違いない。


新着ストーリーは以下の5本である。


    2011年8月14日
   「風の祭」
    ストーリー:小野田隆雄
    出演:長野里美


    2011年8月7日
   「風と監督」
    ストーリー:安藤隆
    出演:水下きよし


    2011年7月31日
   「水の眼を持つものはやがて」
    ストーリー:中山佐知子
    出演:西尾まり


    2011年7月24日
   「空色の帽子」
    ストーリー:蛭田瑞穂
    出演:石飛幸治


    2011年7月17日
   「空の庭」
    ストーリー:岩崎俊一
    出演:山田キヌヲ


(写真は "Tokyo Copywriters' Street" サイトより引用)
(文中敬称略)