宮崎市定『中国史(下)』(1978)を読む。
碩学の歴史概説書は実に面白い。
「むすび」にこうある。
歴史家にとって、歴史概説こそが、
同時に歴史哲学であって然るべきだ。
(中略)
歴史学は単なる集積ではなくて、
事実の論理の体系であるべきだ。
言いかえれば、選択で決まる学問なのだ。
(中略)
著者が自身で感興を持つのでなければ、
読者が面白いと思って読む筈はない。
読者百人のうち、たとえ一人でもいい、
学問を面白いと思って読んでくれるなら、
学者の冥利これに尽きる話ではあるまいか。
(pp.587-589)
宮崎の二巻本は品切れになっていた。
僕はアマゾン・マーケット・プレイスで上下巻別々に手に入れた。
下巻の前の持ち主はこまめに傍線を引く人で
なかなか勘どころよく印があった。
宮崎、前の持ち主、僕の三人で
ゼミを進めるかのように本書を愉しんだ。
新刊本にはない愉しみであった。
ちなみに上記に僕が引用した箇所にもちゃんと傍線が引かれていた。
著者自身の懇切な参考文献解説11頁も合わせ
全二巻、606頁。索引26頁と年表6頁が巻末に付く。
- 作者: 宮崎市定
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1978/06/27
- メディア: 単行本
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(文中敬称略)