世の中には情報を得るための本と
自分の考えの骨格を作るための本がある。
この本は僕にとって後者に属する。
カンヌ・クリエティビティ・フェスティバルに通うかたわら、
梅田望夫『ウェブ進化論ー本当の大変化はこれから始まる』を読む。
2006年出版の本書を僕は平均して一年半に一度ずつ読み直している。
- 作者: 梅田望夫
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2006/02/07
- メディア: 新書
- 購入: 61人 クリック: 996回
- この商品を含むブログ (2363件) を見る
グーグル、フェイスブック、ツィッターが
あたりまえのようにカンヌでセミナーを開く時代になった。
その現実を一方で眺めながら、
副題「本当の大変化はこれから始まる」を実感して今回読んだ。
この6年インターネットに起きたことはなんだったのか。
そしてこれからどんな変化が起きるのか。
まるでいま読むと「予言の書」であるかのように、
2006年を起点に未来について書かれていたことに気づく。
梅田はシリコンバレーのビジョナリーたちから
日々学んだことを本書で構造化した。
その営為が予言の確率を上げたことを梅田は実証したのである。
例えば、Web2.0について梅田はこう定義していた。
ネット上の不特定多数の人々(や企業)を、
受動的なサービス享受者ではなく能動的な表現者と認めて
積極的に巻き込んでいくための技術やサービス開発姿勢
(p.120)
Web2.0の定義に続いて
eベイ創業者ビエール・オミディヤーの言葉を引用。
さらにネットの「あちら側」から
API(Application Program Interface)を公開する意味を解き明かす。
こうしたことは2012年のいまは僕にも自明のことに思える。
しかし執筆当時2005-06年には
僕を含め多くの日本の読者には自明ではなかった。
現在を未来から見た過去ととらえる視点(古在由重)で
本書を読み返すと示唆に富む。
一哲学徒の苦難の道―丸山眞男対話篇 1 (岩波現代文庫―社会)
- 作者: 古在由重,丸山眞男
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2002/02/15
- メディア: 文庫
- クリック: 2回
- この商品を含むブログ (2件) を見る
(文中敬称略)